2009年07月03日
ノウイング
今回もCOMBATマガジン8月号「シネマノート」掲載原稿のオリジナル版に、宣伝会社様よりご提供の写真を添えての作品レビューです。
Ⓒ2009 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
人類は「知る」―
未来はすでに通達されていることを
<作品DATA>
監督・脚本・製作:アレックス・プロヤス
出演:ニコラス・ケイジ、ローズ・バーン、チャンドラー・カンタベリー、ララ・ロビンソン、ナディア・タウンゼント、ベン・メンデルスゾーン
2009年/アメリカ映画/2時間2分/原題:『KNOWING』/配給:東宝東和
●7月10日(金) 全国ロードショー
http://knowing.jp/
Ⓒ2009 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
<STORY>
1959年、創立されたばかりの小学校の真新しい教室で、児童たちが一心不乱に絵を描いていた。これから校庭に埋めるタイムカプセルに入れるために。しかし孤独な少女ルシンダ・エンブリー(ララ・ロビンソン)だけは、何かに取り憑かれたかのように鉛筆でビッシリと、紙に数字を書き込むのだった。やがて先生が時間切れを告げ、ルシンダの数列は未完のままタイムカプセルの中に。そしてその直後に失踪したルシンダは、校内のある場所から異様な姿で発見された。
50年後の現代。MIT(マサチューセッツ工科大学)に勤める宇宙物理学教授ジョン・ケストラー(ニコラス・ケイジ)は、息子ケイレブ(チャンドラー・カンタベリー)が通う小学校の式典に参加する。その小学校は50年前にルシンダが謎の失踪をした場所であり、まさにその式典で件のタイムカプセルが開けられた。そしてケイレヴが自宅に持ち帰った紙こそ、ルシンダが50年前に綴った数字の羅列だったのだ。
何気なくその数列を解析し、「299691101」の数字を見つけて激しく動揺するジョン。それは2001年9月11日の同時多発テロの犠牲者「2996人」と附合するのではないのか? そして詳細に数列を分析したジョンは、そこに過去50年間の災害、事故、事件の発生した日付と犠牲者数、場所が、的確に予言されている事を確信した。さらにその紙にはこれから起こる災害も予言されており、眼前で次々と現実となるそれらを前に、ジョンは呆然と立ち尽くすしかなかった。
ルシンダのその後の消息を求めたジョンは、やがてルシンダの娘ダイアナ(ローズ・バーン)と、その娘アビー(ララ・ロビンソン/2役)と出会う。ほんの数週間後の「ある日付」で終わっている数列が「最後の犠牲者数」として示す「EE」の意味は何なのか? そして50年前、先生に書くのを制止された後にまでルシンダが書き残そうとした数列の続きには何が意味されているのか?
折りしも世界中の天文台が、太陽の異常な現象を観測しつつあった・・・・・・。
Ⓒ2009 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
<解説>
数週間後、消滅の危機に瀕した地球。しかもその重大な事実を偶然知ってしまった大学教授と、その幼い息子による愛と勇気のドラマ。どうあがいても避けられないその運命に対し、人は何を残せるのだろうか?
序盤はオカルト風、ミステリー風の謎解きサスペンス。中盤は驚くほど緻密でリアルなVFXで表現された飛行機事故や地下鉄事故の大スぺクタクルに眼がクギ付けになるディザスター(災害)アクション。クライマックスは人間の尊厳や親子の絆を描くヒューマンドラマ、とめまぐるしくテイストを変化させ、最後まで飽きずに楽しめる。
Ⓒ2009 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
主人公の大学教授を演じるのは普段から泣き顔、困り戸惑う主人公を演じさせたら右に出るもののない大スター、ニコラス・ケイジ。彼には『NEXT』というイマドキひど過ぎるラストで唖然とさせた「前科」があるだけに、同じ近未来モノ、予知能力モノ、災害モノ、の本作もドキドキ&ハラハラ、心配しながら観たわけだが、この『ノウイング』はどなたにでも安心してご覧頂けます(笑)。
監督のアレックス・プロヤスという人、『アイ、ロボット』で有名になったが、イシイが本当に気に入っている彼の過去作は'98年の『ダークシティ』。今回の『ノウイング』同様、脚本もこのプロヤス氏なので、作風もどこか似ている。観始めの印象と観終わってからの印象がまったく違う、という、まさに「2時間ちょっとの心の大旅行」の醍醐味を経験させてくれる監督だ。
Ⓒ2009 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
2009夏休みムービー、残念ながら洋画に関しては、今年もヒットしたシリーズの続編ばかりの様相。そんな「予定調和」の作品ばかりでは物足りない、という人には、絶対お勧めの作品。しかし大ヒット中の『ターミネーター4』もそうなのだが、もはやハリウッド映画は地球規模&人類絶滅レベルの災害を“何とか食い止めよう”ではなく、“それはもう起こってしまうもの”と捉え、その中で人間たちがどう行動するのか? を描く段階にまで来てしまっているようですなぁ・・・・・・。
もしかしたらどこかで誰かが、もう具体的に、いつ何が起こるのか? を知っていたりして。
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人類は「知る」―
未来はすでに通達されていることを
<作品DATA>
監督・脚本・製作:アレックス・プロヤス
出演:ニコラス・ケイジ、ローズ・バーン、チャンドラー・カンタベリー、ララ・ロビンソン、ナディア・タウンゼント、ベン・メンデルスゾーン
2009年/アメリカ映画/2時間2分/原題:『KNOWING』/配給:東宝東和
●7月10日(金) 全国ロードショー
http://knowing.jp/
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<STORY>
1959年、創立されたばかりの小学校の真新しい教室で、児童たちが一心不乱に絵を描いていた。これから校庭に埋めるタイムカプセルに入れるために。しかし孤独な少女ルシンダ・エンブリー(ララ・ロビンソン)だけは、何かに取り憑かれたかのように鉛筆でビッシリと、紙に数字を書き込むのだった。やがて先生が時間切れを告げ、ルシンダの数列は未完のままタイムカプセルの中に。そしてその直後に失踪したルシンダは、校内のある場所から異様な姿で発見された。
50年後の現代。MIT(マサチューセッツ工科大学)に勤める宇宙物理学教授ジョン・ケストラー(ニコラス・ケイジ)は、息子ケイレブ(チャンドラー・カンタベリー)が通う小学校の式典に参加する。その小学校は50年前にルシンダが謎の失踪をした場所であり、まさにその式典で件のタイムカプセルが開けられた。そしてケイレヴが自宅に持ち帰った紙こそ、ルシンダが50年前に綴った数字の羅列だったのだ。
何気なくその数列を解析し、「299691101」の数字を見つけて激しく動揺するジョン。それは2001年9月11日の同時多発テロの犠牲者「2996人」と附合するのではないのか? そして詳細に数列を分析したジョンは、そこに過去50年間の災害、事故、事件の発生した日付と犠牲者数、場所が、的確に予言されている事を確信した。さらにその紙にはこれから起こる災害も予言されており、眼前で次々と現実となるそれらを前に、ジョンは呆然と立ち尽くすしかなかった。
ルシンダのその後の消息を求めたジョンは、やがてルシンダの娘ダイアナ(ローズ・バーン)と、その娘アビー(ララ・ロビンソン/2役)と出会う。ほんの数週間後の「ある日付」で終わっている数列が「最後の犠牲者数」として示す「EE」の意味は何なのか? そして50年前、先生に書くのを制止された後にまでルシンダが書き残そうとした数列の続きには何が意味されているのか?
折りしも世界中の天文台が、太陽の異常な現象を観測しつつあった・・・・・・。
Ⓒ2009 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
<解説>
数週間後、消滅の危機に瀕した地球。しかもその重大な事実を偶然知ってしまった大学教授と、その幼い息子による愛と勇気のドラマ。どうあがいても避けられないその運命に対し、人は何を残せるのだろうか?
序盤はオカルト風、ミステリー風の謎解きサスペンス。中盤は驚くほど緻密でリアルなVFXで表現された飛行機事故や地下鉄事故の大スぺクタクルに眼がクギ付けになるディザスター(災害)アクション。クライマックスは人間の尊厳や親子の絆を描くヒューマンドラマ、とめまぐるしくテイストを変化させ、最後まで飽きずに楽しめる。
Ⓒ2009 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
主人公の大学教授を演じるのは普段から泣き顔、困り戸惑う主人公を演じさせたら右に出るもののない大スター、ニコラス・ケイジ。彼には『NEXT』というイマドキひど過ぎるラストで唖然とさせた「前科」があるだけに、同じ近未来モノ、予知能力モノ、災害モノ、の本作もドキドキ&ハラハラ、心配しながら観たわけだが、この『ノウイング』はどなたにでも安心してご覧頂けます(笑)。
監督のアレックス・プロヤスという人、『アイ、ロボット』で有名になったが、イシイが本当に気に入っている彼の過去作は'98年の『ダークシティ』。今回の『ノウイング』同様、脚本もこのプロヤス氏なので、作風もどこか似ている。観始めの印象と観終わってからの印象がまったく違う、という、まさに「2時間ちょっとの心の大旅行」の醍醐味を経験させてくれる監督だ。
Ⓒ2009 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
2009夏休みムービー、残念ながら洋画に関しては、今年もヒットしたシリーズの続編ばかりの様相。そんな「予定調和」の作品ばかりでは物足りない、という人には、絶対お勧めの作品。しかし大ヒット中の『ターミネーター4』もそうなのだが、もはやハリウッド映画は地球規模&人類絶滅レベルの災害を“何とか食い止めよう”ではなく、“それはもう起こってしまうもの”と捉え、その中で人間たちがどう行動するのか? を描く段階にまで来てしまっているようですなぁ・・・・・・。
もしかしたらどこかで誰かが、もう具体的に、いつ何が起こるのか? を知っていたりして。
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Posted by Takeo Ishii at 01:18│Comments(0)
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